豊洲市場協会(伊藤裕康会長)は、11月3日に開催する「豊洲市場まつり2024」において、当市場内発泡スチロール廃棄物(魚箱)の再資源化について、ケミカルリサイクル(※1)による商業化実証事業を行います。これは市場内で収集した発泡スチロールの減容物(インゴット)をPSジャパン株式会社(東京都文京区、顕谷一平社長)の水島プラント(岡山県)でケミカルリサイクルし、製造されたポリスチレンを使い「豊洲市場まつり2024」で使う食品容器、スタンプラリー景品となるキーホルダーを作成するものです。

現在も全量回収しリサイクル中

 当協会では現在、市場内事業者と協力して発泡廃棄物を収集し、場内処理工場で毎日6~7トンの減容処理を行なっております。処理した減容物(インゴット)は主に輸出されリサイクルに回り、マテリアルリサイクル(※3)によりプラスチック製品などに再生されています。一方で世界的な経済変動によるインゴット相場の乱高下、いわゆる廃棄物の輸出入規制などから、より安定的な国内循環が求められているところです。

国内でケミカルリサイクルし循環

 今回の事業では、市場内で処理したインゴットを水島プラントにて、ケミカルリサイクルすることで原料であるスチレンモノマーに還元し、それを使用したポリスチレン樹脂を容器・キーホルダーメーカーに販売。その容器やキーホルダーを当協会が買い取り、市場まつりで活用するものです。なお、市場まつりで使用した容器は、会場で回収し、発泡スチロールとともに再びリサイクルいたします。

 水産物流通を支える発泡スチロールのリサイクルの取り組みを皆様に知っていただくとともに、更なる活用に向けた取り組みとして、市場まつりを通じPRしてまいります。

《参考:豊洲市場における発泡廃棄物処理量》
 2023年度 合計1,615トン(前年度比 99.1%)   1日平均 6.3トン

【実証事業の概要】

・原料・・・発泡スチロールのインゴット(300キロ)
・作成物・・・海鮮丼や海鮮串などの販売に使用する丼容器・トレー(約2万枚)
     制作メーカー シーピー化成(株)(岡山県井原市、三宅慎太郎社長)
    スタンプラリー景品「豊洲のいちばにゃんキーホルダー」(2,000個)
     制作メーカー (株)富士松(大阪府大阪市、堤敦史社長)
    注)キーホルダーは一部スタンプラリー以外のPR活動にも使用します

※1 ケミカルリサイクル(スチレンモノマーケミカルリサイクル)・・・使用済みポリスチレンを熱分解・精製により、原料であるスチレンモノマーに還元するリサイクル手法。バージン原料と変わらない素性の原料になることが特徴。

※2 減容処理・・・発泡スチロールを粉砕し、熱を加えて脱泡・圧縮する処理。

※3マテリアルリサイクル・・・使用済みプラスチックに熱をかけて溶かし、再利用できる状態に戻すリサイクル方法。異物・異素材を全て取り除くことが難しく、色も黒色になることが多いことが難点。