東日本大震災および能登半島地震の復興支援の一環として、豊洲市場内で期間限定の営業をしている「夢市楽座」。このうち岩手県、宮城県、福島県、石川県の魚介類や特産品を購入できる「夢市」が、2月15日で今年度の営業を終了しました。夢市は、水産仲卸業者で構成する東京魚市場卸協同組合が産地や東京都と連携し、営業してきました。

 最終営業日には、いわき市の関係者が駆け付け、いわき市農林水産部の西丸巧部長が「原発事故から14年余り、風評被害も水揚げ状況も戻っていない現状ですが、今回のようなお誘いはとても有難かったです。これを続けて頂き、来年ももっとPRしていきたいです」と感謝の気持ちを述べました。また、石川県漁業協同組合の笹原丈光代表理事組合長から「震災で港の9割以上が被災しましたが、水揚量は前年対比約7割まで戻ってきました。しかし「隆起」という問題が港の機能を大きく損ない、将来を見据えた大きな転換期となっています。この夢市楽座で多くの水産物を出して頂き、心温まるメッセージも頂きました。おいしい海の幸を多く届けられるように、漁業者一丸となって復興に向けて取り組んでまいります」と。金沢中央水産物卸協同組合の池内孝輔理事長から「まだまだ復興に至っていませんが、今回の取り組みが能登の水産関連の方々の応援の一助になっていると思います。能登から“能登に来て、見て、そして忘れないで”と言われています。これからも長い目で見て頂ければ幸いです」と、それぞれメッセージが寄せられました。

 この産地からの言葉を受け、早川剛生市場長は「産地の方々からお礼の言葉を頂きましたが、お礼をしないとならないのは東京都の方です。豊洲の発信力を活かし、被災地支援を行ない、大きな成果を上げられました。魚がし横丁にも活気が生まれ、豊洲市場の存在を多くの人に知ってもらえました。これからも市場の役割を発信していきたいです」とあいさつしました。東卸組合の早山豊理事長は「積極的に拡販をしましたが、心の支援も行ないました。私たちがいつもいる、常に見ていますよ、ということをメッセージボードで届けることができました。生産者と市場で熱い気持ちの交換も出来ましたし、市場のなかで何が出来るのかを考えていきたいです。また、日本の海を守ろう、大切にしようという流れを作り、みんなが注目する取り組みを考えたい。魚を売るだけではなく、市場の存在価値を高める活動をしていきたいです」と述べ、最後に手締めを行いました。

 岩手県、宮城県、福島県、石川県の漁業や食文化などを楽しく学べる常設の「夢座」は、今月末まで開設しています。

営業終了後に関係者で手締めをしました