豊洲市場開場2周年にあたって
農林水産省食料産業局食品流通課長 武田裕紀
豊洲市場関係者の皆さま、ご無沙汰しております。農林水産省食料産業局食品流通課長の武田でございます。豊洲市場も三回目の10月11日を迎え、見届け役としての私どもとしても大変感慨深いものがございますが、お祝いの言葉に代えて、いくつかお伝えしたいと思います。
まずは、新型コロナウイルス感染症への対応であります。豊洲市場だけではなく、全国の市場においても感染された方がおいでになります。今もなお療養されている方におかれましては一日も早い回復をお祈りいたします。他方、東京都を始めとする開設者の皆さまや市場関係者の皆さまにおかれましては、事業継続のためのガイドラインに即して、手洗い等の徹底やソーシャルディスタンスの確保などにしっかりと取り組んでいただいており、生鮮食料品の安定的な流通が確保されていることに改めて感謝申し上げます。
取引の状況に目を転じますと、新型コロナウイルス感染症拡大の影響は、豊洲市場の取引数量にはっきりと影を落とすことになりました。我が国を代表する卸売市場の一つである豊洲市場ですが、今日的には平均的な卸売市場とは言い難く、業務筋への供給の構成が極めて高いことは私から申し上げるまでもない豊洲市場の特徴であると思います。この特徴により新型コロナウイルス感染症拡大の中で消費者の皆さんが外食や宿泊を控え、結果大変厳しい取引状況となりました。感染予防策に取り組みながらがんばっている飲食店を応援し、食材を供給する農林漁業者を応援するGoToEatキャンペーンも始まっております。このキャンペーンにより豊洲市場の取引も回復することを強く願っております。
さて、昨年1周年の記念行事におきまして、私から豊洲市場の特徴は多くの市場関係者で構成される市場であることであり、その数の力を活かしてほしい旨申し上げました。今年の3月以降は会議の開催もままならなかった面もございますので、私が把握する限りにおいては具体的な取組に至ったものはないと承知しております。他の業界においては、共同配送などの物流改善、DX(デジタルトランスフォーメーション)への対応などを協調領域と位置付け、課題解決に取り組んでいる例があります。豊洲市場の数の力を活かすためにも、協調領域はともに取り組み、目利きを活かした付加価値の創造など競争領域は切磋琢磨していただくことが豊洲市場の発展につながるはずだ、そのために私どもがお手伝いできることないか、と焦りにも似た思いが日に日に強くなっております。
新型コロナウイルス感染症だけでなく、今年も例年同様自然災害なども発生し、予測のつかない変化も起きる状況でありますが、そのような変化への対応をも乗り越えてこそ、我が国を代表する市場であると言えましょう。来年の今頃には皆さま方と顔を合わせ、新しい取組の成果などを話せるような状況となっていることを願っております。ともに前進してまいりましょう。