豊洲市場協会は5日、市場内で新年賀詞交歓会を開催いたしました。各業会(業界)代表者ら約80人が出席。来賓として小池百合子東京都知事も参加しました。伊藤裕康会長は、東京オリンピック・パラリンピックの開催、施行される改正卸売市場法への対応などを今年の課題に挙げ、「業会が一丸となってこれらに機敏に対応できる風土を築き上げたい」とあいさつ。小池都知事は「今年も大きな勝負の年でもあり、皆様とともにさらに市場を発展していくよう努めたい」と述べました。

 

 賀詞交歓会では、当協会の大野精次副会長が開会の辞、乾杯を渡邊一夫副会長、中締めを増山春行副会長、閉会の辞を早山豊副会長が行いました。東京都中央卸売市場からは黒沼靖中央卸売市場長、前山琢也豊洲市場場長らが出席しました。

 

※会長あいさつ、小池都知事あいさつ内容は以下の通りです。

【伊藤会長あいさつ(全文)】

 皆様、新年明けましておめでとうございます。豊洲市場協会会長の伊藤でございます。皆様には日頃より当協会の運営にご理解、ご協力を賜り厚く御礼申し上げます。

 

今年は三が日とも穏やかな天候に恵まれましたので、皆様、落ち着いた新年を過ごされたこととお喜び申し上げます。

 豊洲市場で迎えるお正月も二回目となりました。一昨年の開場から一年三か月を経過しましたが、運営面では大きな問題はなく、各街区とも市場機能が順調に稼働していると認識しております。

 こうした中で、今朝の豊洲市場での初ゼリは、大勢の関係者の皆様が見守る中、水産、青果とも無事に終了し、良い一年のスタートが切れたと安心しております。皆様に改めて感謝を申し上げます。

 

 

 さて、今年は、私どもにとって大きな課題が二つ予定されております。一つは東京オリンピック・パラリンピックの開催でございます。

 

 1964年の前回から56年ぶりの開催でございますが、私どもにとっては開催の前後の六月から九月までの期間、市場の運営が順調に流れ、ご出荷いただく生産者、出荷者の皆様や買出しの皆様へご迷惑が掛からないようにしなければなりません。

 

 オリンピック運営当局や東京都が実施する交通対策を事前に把握し、生鮮食料品の物流への影響を最小限にとどめるよう対策を講じたいと存じます。

 

 また、大会期間中には1千万人近いスタッフや観光客が東京に滞在するとの予想もございます。豊洲市場周辺には多数の競技会場や選手村がございますので混乱のないよう留意してまいりたいと思います。

 

 二つ目は六月に施行される改正卸売市場法への対応でございます。

 

 昨年一二月の東京都議会で改正卸売市場法に沿って東京都中央卸売市場条例が改定されました。現在の卸売市場内の規制が大きく変わります。新条例下での新たな卸売市場を活性化させるために、どのように運営していくか新しいルールと運営体制を作りあげなければなりません。

 

 次に当協会の取り組みについて申し上げます。

 

 私どもは、移転一周年を迎えた昨年十月十一日に、都民の台所である豊洲市場は安全で安心できる食品の供給者として、「地域の皆様に愛され、都民に信頼された上で世界に翔(はばた)く市場を目指す」ことを、市場共通の御旗として掲げました。今後は業会が一丸となってこれらに機敏に対応できる風土を築き上げてまいりたいと考えております。

 

 また、昨年十月から情報発信機能を強化いたしました。市場に入荷した食材に関して、水産物であれば入荷している魚の紹介、それの漁獲方法、入荷見通し、素材の生かし方などを皆様方にSNSを使って提供するものです。今後は青果の情報もあわせて発信する予定であり、更にホームページもリニューアルして、豊洲でどのような食材が扱われ評価されているのかを内外に情報発信してまいります。

 

 このほか、今後、取り組まなければならない課題もございます。

 豊洲市場を安全で効率がよく便利な市場とするための運営上の課題も解決していかねばなりません。三つの街区に道路で分断された構造をどう有機的に結び付け、場内物流や買い回りの円滑化を図ることができるのか、知恵と工夫が必要です。

 不足している駐車場の問題は、東京都とともに粘り強く解決への努力を続けてまいります。

 都心から豊洲市場までの交通手段につきましては、便利でアクセスのしやすい市場に向けて、引き続き皆様とともに取り組んでまいりたいと思います。

 

 このほか、豊洲市場全体を網羅する情報通信システムである統合ネットワークの安定的な運営。世界的に対応を迫られている廃プラスチック問題。食品安全面では、ハサップ義務化に早急に対応する必要があります。これらにつきましても、会員事業者の皆様のご理解とご協力を賜りながら、解決に向けて取り組んでまいりますので、よろしくお願い申し上げます。

 

 最後になりますが、会員の皆様、ご参会の皆様のご健勝、ご繁栄を心からご祈念申し上げまして私の新年のご挨拶とさせていただきます。

【来賓あいさつ】小池百合子都知事

 

 新年あけましておめでとうございます。

 

 本年も豊洲市場協会のお招きにより、新年賀詞交歓会に伺わせていただきました。昨年中は、伊藤会長をはじめとする皆様方に大変お世話になり、誠にありがとうございました。特に、昨年12月には、伊藤会長からもお話がありましたように、市場改革ということで条例が成立いたしまして、いよいよ本年6月には施行という運びとなりました。

 

 また、振り返ってみれば、築地からターレーの大移動からもうすでに2回目のお正月を迎えられたわけです。そして、その間も新しい市場への戸惑いや、交通の問題など様々な課題をお寄せいただきました。市場協会の皆様とともに、東京都としましても、様々な要望に応えるべく、これまでもお互いの連携を強めさせていただきました。昨年11月にもヒアリングということで、これからの豊洲市場発展のためのいくつかの課題、要望を賜ったところです。

 

 さて、今年の初セリも、(生鮮クロマグロが1本)1億9320万円で、キロ70万円。すごいですね。非常に初セリもにぎわいの中で行われ、今年を象徴するかのようなにぎわいになったかと思います。うれしく思うところです。ぜひ、今年もさらに、新しい市場のルールの中で、新たな挑戦や、物流など様々な課題を解決すべく、皆様方とともに歩んでまいりたいと思います。

 

 また、伊藤会長に既にふれていただきましたが、2020大会(東京オリンピック・パラリンピック)の開催にあたりまして、交通の点でも皆様方にはご協力を頂かなければなりません。情報提供をしっかりさせていただきます。それと同時に、海外からのお客様がこの豊洲をめがけて来られます。海外からお越しの方々、国内の方々に、この市場のことを知ってもらい、そして何より、良いお買い物、良いお食事を楽しんでいただいて、「東京は良かったね」と、「2020大会は素晴らしかった」と思っていただけるように、ぜひ、皆様方のご協力をお願いいたします。

 

 そして、何より豊洲市場、これだけの規模、これだけの商い、そしてこれからもさらに発展するように、今年も大きな勝負の年でもあり、皆様とともにさらに市場を発展していくよう努めてまいりたいと考えております。どうかこの1年、皆様方がご発展、ご健勝でありますことを心から祈念し、新年のご挨拶とかえさせていただきます。今年も頑張ってまいりましょう。おめでとうございます。